ベーム / ウィーン・フィル NHKライヴ1975

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シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」&ワーグナー楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
第1幕への前奏曲 1975年3月19日 東京NHKホール

1975年のNHKホールでの熱気と空気感がひしひしと伝わる録音である。NHKホールはどちらかと言うと、クラシック音楽向けのホールとしては、見劣りする音響空間ではるが、そこでベーム/ウィーン・フィルが奏でた名演は、そんな音響の優劣を超えたものであったことがこのCDで証明されている。

確かに現代のコンサートホールでのライヴ録音の方が、優れた音響で臨場感たっぷりに楽しませてくれるが、この1975年ライブは、しっかりとNHKホールの特徴を捉えた録音であり、当時の録音技術での最高レベルのものであったろう。

我家の装置で聴くとステージまでの距離はやや遠めで、左右は幅広く再生されるが奥行きは比較的浅い。もう少し音に体を沈めて聴きたいという感はあるが、これが客席からの聴こえ方なのだろう。つまり実際のNHKホールで聴いている感覚が味わえるのです。(あくまでイメージです)

さて収録曲であるが、まずシューベルトの「ザ・グレイト」では、はかなり遅めのテンポでじっくりメロディを歌わせながら進めていく。つまり「田園」(ベートーヴェン)のようなやさしいイメージの「ザ・グレイト」である。
だが第3楽章からはかなり音楽に躍動感が蘇り、シューベルトがこの交響曲に託した思いがじわじわと表現されてきます。そこからは何の理屈も無く、もう目を閉じて美しいメロディに体を預けるだけで、天国に居るような優しい気持ちになれるのである。本当に不思議なパワーである。

次の「マイスタージンガー」前奏曲はベームの演奏が一番だと私は評価している。
これほど劇的でドラマティックな展開をみせる「マイスタージンガー」は少ない。
コンサートでの単独演奏(オペラ全曲としてでない)で、これだけ感情を注入した「マイスタージンガー」をやれるのは本当にベームだけであろう。何度聴いても繰り返し聴きたくなる名演である。

1970年~1980年はカラヤンとベームがグラモフォンレコードでの花形であり黄金時代であった。
そんな時代のことを今回このCDは思い出させてくれました。
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Commented by ten-zaru at 2013-03-09 21:35
GRFmemoryさん、今晩は。
自宅に居ながらコンサートホールの雰囲気が味わえるとは、
なんと贅沢な事でしょうか。
それこそ至福の至りですよ。
Commented by GRFmemory at 2013-03-17 12:08
tem-zaruさん>いやいや、苦しいですよ。自分の好みの音に仕上げるために、いろいろいじらなくてはなりませんからね。
でも、それが成功した時は贅沢な時間となります。
by GRFmemory | 2013-03-09 11:38 | シューベルト | Trackback | Comments(2)