2018年7月31日は火星が地球に大接近して、南東の空にオレンジ色に輝く火星を、肉眼でも十分その美しさを堪能することができました。火星は15年〜17年周期で地球に大接近する惑星で、昔から火星が地球に近づくと戦争が勃発すると云われてきたそうです。
ズービン・メータ指揮 ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団ホルスト作曲 組曲<惑星>作品32
・火星ー戦争の神不気味な序奏から勇ましい軍隊の行進。人間が何かにとり憑かれたような形相で、一心不乱に歩調を合わせ、戦争に挑む様子が見えてきます。そして、いつ自分も敵国から殺されるか、恐怖との闘いや緊張感がこの音楽には込められています。しかし最後の結末はあっけなく終わってしまいます。戦争なんてそんなものかも知れません。どっちが勝っても負けても馬鹿らしい結末しか待ってません。
・金星ー平和の神映画の平和な回想シーンでも観ているような、穏やかで美しい響きを聴かせてくれます。「火星」の後に聴くと平和のありがたさが、ひしひしと伝わってきます。この「金星」では折り重なる木管と弦の絡みがとても印象的です。
・水星ー翼のある使いの神チェレスタとフルート、ピッコロ、シンバルの音が心地好い軽快でリズミックな楽章。
・木星ー快楽の神あの有名な歌「ジュピター」の旋律は親しみやすい曲で、第4主題にあらわれます。コラールのような祈りを感じさせる楽曲ですが、この「木星」の聴きどころは、雄大な宇宙のロマンを描いたパノラマ的な大きさにあります。音の空間の表現である全休止など、聴き込むと虜になる音楽です。
・土星ー老年の神「老年」と名付けられたアダージョ。暮れゆく秋を想わせますが、長い人生を歩んできた過去を糧に、更なる新たな光を見つけるための、旅立ちの歌にも聞こえる音楽です。
・天王星ー魔術の神色彩豊かなオーケストレーションが魅力の楽章です。メータの指揮はとてもバランス良く統制しており、オーケストラ音楽を満喫させてくれます。
・海王星ー神秘の神ハープ、チェレスタが天上の音楽として、宇宙の彼方から聞こえてくる神秘的な楽章です。そして、プラスαで女声合唱も加わり、より一層その神秘性が増してきますが、最後はむなしく消えるように曲は閉じます。
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